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企業の拠点設置を検討するにあたって、迷いやすいのが「サテライトオフィス」と「支店」のどちらを選ぶべきかでしょう。
いずれも、本社とは別の場所に設けるため、一見すると同じような存在に感じるかもしれません。しかし、実際には設置する目的や役割、運用方法には違いがあります。
そこで、今回はサテライトオフィスと支店の特徴や違いについて解説します。併せて、用途に合わせた選び方のポイントにも触れていくため、拠点設置を検討している方は、自社に合った拠点運営の判断材料として、参考にしてみてください。
サテライトオフィスと支店には、どのような特徴があるのでしょうか。まずは、それぞれの特徴について解説します。
サテライトオフィスとは、企業の本社や主要拠点から離れた場所に設置される、小規模なオフィスのことです。主に、社員の働きやすさを向上させるために設置され、リモートワークやフレキシブルな働き方の拠点として利用されます。目的は、生産性向上、通勤時間の短縮、災害時のバックアップ拠点の確保など多岐にわたります。
一般的に営業活動や顧客対応が不要な従業員が利用するケースが多い傾向です。一口にいうと、サテライトオフィスは、従業員が業務に集中するための環境と言えます。
そのため、設備はデスクやインターネット環境、会議室といったシンプルな内容で整備されていることが多く、他の利用者と共用する設備も多いのが特徴です。その分、運営コストが安価で、中小企業も多く導入しています。
支店とは、特定の地域や市場で営業活動を行うために設置される正式な拠点です。顧客対応や取引先とのコミュニケーションを行うために、従業員が常駐するオフィスとして活用することが目的とされています。そのため、サテライトオフィスと比べると、規模が大きく、設備も豊富な傾向です。
また、支店は企業の顔としての役割も担い、ブランドイメージ向上や地域での存在感を高めることも目的としています。そのため、運営コストや管理の負担がありますが、地域特化型のビジネス展開には必須の拠点です。
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サテライトオフィスと支店の特徴をふまえ、ここからはそれぞれの明確な違いについて掘り下げて解説します。具体的にどのような違いがあるのか、自社のニーズと照らし合わせながらチェックしていきましょう。
サテライトオフィスの目的は、従業員の働き方改革や通勤負担の軽減、リモートワークの推進です。「従業員が働きやすい職場環境」を実現するための施策の一つとして、サテライトオフィスを設けるケースが増えています。
また、BCP(事業継続計画)の観点から、災害時のバックアップ拠点として活用されることもあります。万が一の災害リスクに備えてサテライトオフィスを設けておくことで、事業が停止する期間を短縮するなど、損害を最小限におさえやすくなるのが魅力です。
一方、支店の目的は、特定地域における営業活動や顧客対応の強化です。地域に密着した拠点として、取引先や顧客と直接コミュニケーションを図り、新規市場の開拓や事業拡大を支援するための存在です。
つまり、サテライトオフィスは内部的な効率向上、支店は外部的な営業強化を目的としています。
サテライトオフィスの利用者は特定の部署や職種に限定されず、全従業員が利用できる点が特徴です。主に、通勤負担を軽減したい社員やリモートワークを希望する社員が利用する傾向にあります。
支店の利用者は、営業部門やカスタマーサポート部門など、特定の業務を担うスタッフが中心です。また、支店ではスタッフが常駐していることが一般的であり、顧客や取引先との関わりも多い傾向にあります。
サテライトオフィスが柔軟な内部利用に特化しているのに対し、支店は外部対応に特化した利用が中心となっているようなイメージです。
サテライトオフィスは必要最低限の設備を備えた、小規模な拠点である場合がほとんどです。基本的には、数人の社員が利用できるスペースで十分とされています。実際、サテライトオフィスの利用目的は、リモートワークや一時的な作業拠点であるため、大きな規模を求める必要はありません。
一方、支店は地域での営業活動や顧客対応の拠点として設置されます。そのため、ある程度大規模なスペースが必要です。複数の部署や業務を運営するための設備を備えており、地域の主要拠点としての役割が求められます。
サテライトオフィスは、デスクやインターネット環境、会議室など、作業に必要な最低限の設備が一般的です。従業員が快適に働ける環境を整えつつも、コスト削減のためにシンプルな設計に整備されていることが多い傾向にあります。
一方、支店では、営業活動や顧客対応を行うための受付、応接室、会議室、カスタマーサポートスペースなど、多機能で充実した設備が必要です。実際、大切な顧客対応を行う際に、簡素なスペースを活用すると顧客からのイメージが悪化する恐れがありますし、競合他社に魅力の面で差が生じてしまうリスクがあるでしょう。
また、支店は倉庫や物流機能を併設することもあります。事業内容や利用目的などに合わせて、柔軟に設備を追加していく必要があるのです。
サテライトオフィスは小規模で設備がシンプルなため、運営コストが比較的低く抑えられます。短期的な設置や移転が容易であることもコスト効率を高める要因です。一方、支店は中・大規模で、専任スタッフの常駐や複雑な設備が必要なため、運営コストが高くなる傾向があります。ただし、その分、支店は営業や顧客対応を通じて直接的な収益を生み出すため、投資対効果や設置目的に応じて適切なコスト配分が求められます。
ここまでのお話でサテライトオフィスと支店の違いを把握できたかと思いますが、結局のところ、自社がどちらを選ぶべきなのかが重要な問題です。ここからは、「サテライトオフィスが適しているケース」について解説します。サテライトオフィスが自社のニーズに合っているのかを考えるためにも、以下をヒントにしてみましょう。
サテライトオフィスが適しているケースとして、まず挙げられるのが社員満足度を向上したい場合です。サテライトオフィスは、主に従業員の働きやすさや生産性を向上させたい場合に適した選択肢と考えられています。
現代において、社員満足度の向上は必須の取り組みです。人材不足の解消や、パフォーマンス向上のためにも、社員が快適に働けて、ストレスなく通勤できるような会社を目指す必要があります。
そのためには、従業員の通勤時間短縮のために自宅近くにサテライトオフィスを設置したり、リモートワーク拠点を設けたりすることがおすすめです。
現時点の社内の災害対策・準備をチェックした際、不十分であると判断される場合にはサテライトオフィスの設置が必要です。
サテライトオフィスは、災害時のバックアップ拠点として活用できるのが特徴です。仮に地震や水害、火災などで本社が損害を受けた場合、サテライトオフィスがあれば本社の復旧期間中も事業を継続することが可能です。
「もしも今災害が発生したらさまざまな損害が生じる可能性が高い」といった場合には、サテライトオフィスの設置を検討してみましょう。
すでにリモートワークを導入している場合は、サテライトオフィスの設置がおすすめです。
リモートワークの導入が進んでいる企業は、従業員が「会社以外で働くこと」に慣れているため、サテライトオフィスの導入・利用をスムーズに進められることが多いためです。
また、従業員が「自宅では集中しづらい」「自宅のインターネット環境が不安定」といった問題を抱えている場合も少なくありません。サテライトオフィスを設置すれば、従業員も快適に業務を進めやすくなり、生産性やパフォーマンス向上が期待できるでしょう。
地方や新たなエリアでの事業拡大を検討している企業にとって、サテライトオフィスは低リスクで進出できる方法であるため、おすすめといえます。
サテライトオフィスは、支店を設置する場合と比べてコストを抑えやすく、万が一失敗しても損害を最小限に抑えやすいといったメリットがあります。
また、サテライトオフィスは地域の市場調査や試験的な活動拠点としても活用できるため、拠点選びの段階からも導入しやすいオフィスです。
ちなみに、富士宮市では「富士宮サテライトオフィス」として、中小企業や大手企業の地方進出を支援しています。資源が豊富な富士宮市は、近年、ビジネスの拠点として人気を集めており、自治体が主体となってサテライトオフィス誘致活動を展開中です。
地方への展開を検討している方や、新たに事業を展開するエリアを探している方は、ぜひ一度富士宮サテライトオフィスHPをご覧ください。
【富士宮サテライトオフィス】
窓口 :富士宮市 産業振興部 商工振興課
電話番号:0544-22-1154
公式HP :https://fujinomiya-so.com/
関連記事:インキュベーションオフィスとは?特徴や活用のメリット・デメリット、成功事例まとめ
魅力的なメリットが並ぶサテライトオフィスですが、「支店の方が適しているケース」も存在します。自社の場合はどちらが適しているのかを判断するためにも、ぜひ以下を参考にしてみてください。
支店は、地域に密着した営業活動や顧客対応が求められる場合に適しています。具体的には、新しい市場開拓や地域特化型のサービスを提供する場合が挙げられるでしょう。本社だけでは対応が難しい領域も、支店があることでより幅広い業務に従事しやすくなります。
また、営業チームやカスタマーサポートを常駐させ、地域でのプレゼンスを高めたい企業には支店の設置がおすすめです。支店を設けることで、その地域の顧客にスピーディーに対応できるでしょう。
ちなみに、支店は顧客対応が多い傾向にあります。そのため、カスタマーサポートや窓口業務を設置でき、顧客満足度の向上も期待できるでしょう。接客や営業、地域の調査などの業務を視野に入れている場合は支店を検討してください。
サテライトオフィスよりも支店のほうが適しているケースとして、「企業のブランド力を向上させたい場合」があります。支店を設置することで、その地域での企業の存在感を高めることが可能です。
実際、地域密着型の拠点は、企業の信頼性やブランドイメージの向上が期待できます。「近くにある利用先」として認知されるだけでもブランディングにつながりますし、「東京に本社を持っている」といったイメージが企業の信頼性や権威性のアピールにつながるためです。
サテライトオフィスでは、単純に「従業員の作業場所」として機能するだけであるため、企業のブランディング面に良い影響を与えるのは難しいのが現状でしょう。
企業のブランド力に課題があると感じる場合には、支店の設置を選んだほうが、課題解決につながる可能性があります。
利用する従業員の人数が多い場合、支店の設置が適している場合があります。支店は中・大規模のオフィススペースを確保することが多いためです。実際、支店には営業部門やサポート部門、管理部門など、複数の部署を同時に収容することが少なくありません。
また、チームでの業務や顧客対応を円滑に進められるよう、会議室や応接室などの設備が充実している点も支店ならではです。サテライトオフィスは、あくまでも作業場所の確保といった意味合いが強いため、規模の大きなスペースを確保するケースは少ないのが事実です。基本的に、サテライトオフィスは1人から数人単位での契約が多いため、大人数の利用には不向きといえます。
支店とサテライトオフィスの導入で迷ったときには、利用する従業員の人数から検討してみることをおすすめします。
サテライトオフィスと支店は、必ずしもいずれかを選ばなければならないわけではありません。企業によっては、サテライトオフィスと支店を併用することで、さまざまなメリットを得られる場合もあります。
ここからは、サテライトオフィスと支店を併用するメリットについて触れていきます。
サテライトオフィスと支店を併用するメリットとして、まず挙げられるのが「業務効率化・柔軟な働き方」の両方を実現できることです。
支店が営業活動や顧客対応を行う一方、サテライトオフィスは従業員の働きやすさを実現します。つまり、営業チームは支店での対外活動に集中し、他の従業員はサテライトオフィスを利用して通勤時間を短縮しながら業務に専念できるのです。
結果的に、業務効率化と柔軟な働き方を両立でき、企業の生産性を高めつつ、従業員満足度も向上できるでしょう。
地域に特化させつつ、広いエリアで従業員をサポートできるのが、支店とサテライトオフィスを併用するメリットのひとつです。
支店は、特定地域での事業に特化したオフィススタイルです。営業活動や顧客対応に特化しているため、事業を広げたい地域に根付き、特定のエリアにフォーカスして顧客を増やしたり、顧客へのサポートを実施したりすることができます。
一方のサテライトオフィスは、特定の地域に縛られることなく、広い領域に在籍する従業員をサポートすることができます。
そのため、併用することで「特定の地域に特化させる」と「さまざまな拠点で従業員が働くことを実現させる」の2つのポイントを達成できるといえます。
サテライトオフィスと支店の導入スタイルによっては、コストを削減しながらも機能性を高めた環境整備を実現することが可能です。
まず、支店やサテライトオフィスの導入に伴い、本社の規模を縮小することができます。固定費の高いエリアに本社を設置している場合、縮小できれば大幅なコストダウンを期待できるでしょう。
地方は都内と比べて家賃などの固定費が安価であるため、サテライトオフィスや支店を新設しても本社縮小前のコストと比べて費用を抑えられる場合があります。トータルで見ると、支店とサテライトオフィスを併用し、本社を縮小させた方が安くなるケースは多いと思います。
また、サテライトオフィスにおいては、最低限の設備で設置します。そのため、そもそもの初期費用やランニングコストも安価な傾向です。
そのため、支店やサテライトオフィスの新設により、コスト削減を実現しつつ業務の質を高めることが期待できます。
関連記事:サテライトオフィスの使い方|おすすめの活用方法や企業の導入事例を紹介
本社とは異なる拠点として、支店やサテライトオフィスの設置が注目されていますが、「コワーキングスペース」も選択肢として検討してみることをおすすめします。
コワーキングスペースとは、個人や企業などの利用者が設備を共有しながら利用するスペースのことです。一般的には、フリーランスやスタートアップ企業、リモートワーカー等に利用されています。
支店やサテライトオフィスとは異なり、利用のハードルが低いのが魅力です。まず、契約プランは月額だけではなく、「1日単位での利用」「1時間単位での利用」などの方法で利用できます。
また、1時間あたり1000円~2000円程度とコストが低いうえに、ドリンクサービスや簡易的なカフェなどのサービスが提供されていることも少なくありません。会議室やインターネット環境が整備されていることも多く、業務に必要な環境は整備されています。
富士宮市は、サテライトオフィスのほか、コワーキングスペースも充実しているのが特徴です。とくにおすすめなのが「Connected Studio i/HUB」です。
インテリアにもこだわり、カフェのような居心地の良さと、集中しやすい半個室空間での作業スペースが提供されています。
インターネット環境や電源、個室ブース、ミーティングルームのほか、カフェスペースも設けられています。休憩やメンバーとのリラックスタイムも充実しやすいでしょう。
ドロップイン(一時利用)なら1時間550円、月額料金なら18,700円~と、低コストで利用が可能です。
新たな拠点場所を探している方は、ぜひ一度Connected Studio i/HUBまでお問い合わせください。
【Connected Studio i/HUB】
住所 :静岡県富士宮市大宮町31 澤田ビル1F/2F
営業時間:9:00~18:00(月額会員は24時間利用可能)
休業日 :土曜日・日曜日・祝日・その他
電話番号:0544-66-6880
公式HP :https://connectedstudioihub.com/access/
今回はサテライトオフィスと支店の違いについて解説しました。本記事で触れた通り、サテライトオフィスと支店には、それぞれ異なる役割と特徴があります。どちらを選ぶべきかは、企業の目的やニーズをふまえて考えることが重要でしょう。
とはいえ、どちらか一方に絞る必要もありません。支店とサテライトオフィスを組み合わせて導入するスタイルもおすすめです。実際に、支店とサテライトオフィスを併用している企業は多く、今後も増加していくと見込まれています。
まずは、自社の課題を深堀りしたり、ニーズを調査したりしながら、必要なオフィススタイルを考えてみてください。