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サテライトオフィスは、企業の働き方改革を推進し、従業員の多様なニーズに応える有効な手段として注目されています。しかし、導入には初期費用や運用コストなど、さまざまな課題が伴うのが現状です。
サテライトオフィスの導入を検討していても、コストの壁により、実際に準備を進めていくことが難しいと感じている方も多いのではないでしょうか。
そんな方におすすめしたいのが、補助金の活用です。サテライトオフィスの導入に伴う初期コストなどは、補助金でカバーできるケースが少なくありません。
そこで、本記事では、サテライトオフィス導入を検討している企業が活用できる国の制度や地方自治体の補助金制度を詳しく解説します。
ぜひ、自社の事業戦略に合った最適な補助金を見つけ、現代のニーズにマッチする職場環境の整備を進めていきましょう。

サテライトオフィスの導入を検討するにあたり、そもそもどのようなメリットがあるのかは気になるところではないでしょうか。
ここからは、サテライトオフィスを導入するメリットについて解説します。
サテライトオフィスの導入は、従業員のワークライフバランスを大幅に改善する効果があります。特に、都市圏における長時間の通勤は、従業員にとって大きな負担であり、疲労やストレスの原因となっていました。
サテライトオフィスを利用することで、この通勤時間を大幅に短縮でき、その分を自己啓発や家族との時間、休息、余暇などに充てることが可能になります。従業員は心身ともに健康を保ちやすくなり、仕事への意欲や集中力の向上にもつながるでしょう。
また、子育てや介護といった家庭の事情で、主要拠点での勤務が難しい従業員にとってもメリットが大きいといえます。自宅近くで働ける選択肢が提供されるため、離職を防ぎ、多様な人材を獲得したり、長く活躍できる場を提供することにもつながります。
結果的に、企業全体の従業員満足度が向上し、定着率の改善にも関わるでしょう。
優秀な人材の獲得競争が激しくなってきている現代において、サテライトオフィスの存在は採用の場でアピールポイントとなります。勤務地や働き方の柔軟性を重視する傾向が強まっているからです。
実際、自宅近くや地方での勤務を可能にするサテライトオフィスは、求職者にとって魅力的に感じる部分でしょう。特に、遠方や地方に住む優秀な人材、家庭の事情で転居が難しい転職希望者など、従来の採用活動では接触できなかった層にもアプローチできます。
また、「通勤時間が少ない」「ライフスタイルに合わせた働き方ができる」といったポイントは、従業員を大切にする企業文化のアピールにもつながります。求職者から見た企業のイメージを向上することができるでしょう。
企業のイメージアップを実現できれば、応募者の増加や、求めるスキルを持つ人材の確保の面で成功しやすくなります。
自然災害や感染症の拡大など、予期せぬ事態が発生した際、一箇所に業務が集中していると、その機能が停止するリスクが高くなります。サテライトオフィスは、このリスクを地理的に分散させることが可能です。
例えば、本社が被災して使用不能になった場合でも、他の地域のサテライトオフィスで業務を継続することが可能です。これにより、事業の停止期間を最小限に抑え、顧客や取引先への影響を軽減できます。
また、交通機関の麻痺などで従業員が本社に出勤できない状況でも、自宅や最寄りのサテライトオフィスで業務を続けられるため、事業継続計画(BCP)の実効性が向上します。
利便性の高さだけでなく、企業の持続可能性を高めるための経営戦略上の重要なインフラとして、サテライトオフィスの価値は高まっている状況なのです。
一見、オフィスが増えることでコストが増加するように思えますが、サテライトオフィスは適切な運用によって生産性向上とコスト削減を両立させることが可能です。
まず、通勤時間削減による従業員の集中力向上や疲労軽減は、単位時間あたりの生産性向上に直結します。
また、本社とは異なる静かで集中しやすい環境を提供することで、創造性や作業効率の向上も期待できます。
コスト面では、本社の一部を地方のサテライトオフィスに移管することで、地価や賃料が安いエリアで事業を展開でき、不動産コストを削減できます。サテライトオフィスの導入に伴い、本社に空きスペースが生まれるようであれば、別の用途で活用したり、規模の小さなオフィスに移転したりするといった、さまざまな選択肢が生まれるでしょう。
さらに、サテライトオフィスの導入と合わせてフリーアドレス制などを導入すれば、本社のオフィスの最適化も進みます。結果的に、賃貸として使用する面積を減らすことも可能です。
このように、人件費や不動産費の効率化を図りながら、従業員のパフォーマンスを最大化できるのがサテライトオフィスの大きな強みです。

サテライトオフィスの導入では、さまざまな課題が生じるのも事実です。具体的に、どのような課題が生まれることが想定されるのか、詳しく解説します。
サテライトオフィスを新しく導入する際、最初に直面するのがお金の問題です。サテライトオフィスを持つためには、まず場所を借りる費用、内装を整える工事費、机や椅子などの家具、パソコンやプリンターなどのOA機器を揃えるための費用が初期投資として必要になります。いずれの費用も、新しい事業所を一つ作るのと同じで、まとまった費用が必要です。
また、一度オフィスが動き出せば、毎月発生する運用コストも忘れてはいけません。場所の賃貸料や共益費、電気代、高速で安定したインターネット回線を使うための通信費、そしてオフィスを清潔に保つための清掃費などが挙げられます。
本社と同じように、二重で費用がかかるため、「このお金をかけることで、社員の生産性は本当に上がるのか?」「社員は喜んで使ってくれるのか?」といった、投資に見合うだけの費用対効果があるのかを、導入前にしっかりシミュレーションすることが重要です。
初期費用を抑えるために、家具をレンタルしたり、利用料が抑えやすいサテライトオフィスを選んだりするなど、工夫が求められるでしょう。
サテライトオフィスを安全に運用するために、特に気をつけなければならないのが「セキュリティ対策」です。本社から離れた場所で少人数が働くサテライトオフィスは、本社に比べて目が行き届きにくく、情報が漏れてしまうリスクが高くなる傾向があります。
セキュリティ対策として検討できる案は、大きく二つあります。まず挙げられるのが「物理的な対策」です。部外者が簡単に入れないように、鍵や入退室管理システムを導入することや、機密文書をしまうための鍵付きのキャビネットを用意することなどが該当します。
もう一つが「データの対策」です。サテライトオフィスから会社のネットワークに接続する際は、情報が第三者に盗み見られないように、安全性の高いVPNを使うことが必須です。
また、社員が使うパソコンには、必ずウイルス対策ソフトを入れ、定期的にパスワードを変えるルールも設けましょう。同じパスワードを長期間使用し続けていると、不正アクセスのリスクが高まるため注意が必要です。
他にも、社員一人ひとりが「席を立つときはパソコンの画面をロックする」「会社の情報が入ったUSBメモリを安易に持ち出さない」といった、高いセキュリティ意識を持つための教育も重要といえます。
サテライトオフィス導入によって、社員が複数の場所に分散すると、「コミュニケーションの課題」が表面化しやすくなります。とくに壁となるのが、「日常的な会話」や「業務外の何気ないやりとり・情報交換」が減ってしまうことです。
本社では、部署が違っても、休憩中や廊下で顔を合わせ、ふとした雑談から新しいアイデアが生まれたり、トラブルの兆候に気づけたりすることがよくあります。しかし、物理的に離れてしまうと、そうした自然なコミュニケーションの機会が失われてしまうのが現状です。
その結果、部署間の連携がスムーズにいかなくなったり、「今、他のチームは何をしているのだろう?」といった相互理解が不足したりする可能性があります。
これを解決するためには、テクノロジーを積極的に活用することが重要です。具体的には、お互いの顔を見ながら話せるWeb会議システムや、すぐに質問や連絡ができるチャットツールを導入します。
ただツールを入れるだけでなく、「毎日、チームで朝会をオンラインで行う」「週に一度は雑談のための時間を設ける」など、意識的にコミュニケーションの機会を作るための運用ルールを定めることが大切です。
従業員同士が物理的に離れていても、ツールを使って「繋がっている」と感じられるように工夫していく姿勢が求められます。
サテライトオフィスで働く社員の「モチベーション維持」は、重要な課題の一つです。サテライトオフィス勤務は、通勤時間が減る、仕事に集中しやすい環境で働けるといった良い面があります。ただ、一方で、「会社から孤立している感じがする」「自分だけが評価から漏れているのではないか」といった不安を感じやすくなるのも事実です。
特に、本社で働く人たちと比べて、サテライトオフィスで働く人が、昇進や新しいプロジェクトに参加する機会などで不公平な扱いを受けていると感じてしまうと、モチベーションは低下します。
従業員のモチベーションの課題を解決するためには、まず公平な人事評価制度を整えることが必要です。どこで働いていても、仕事の成果だけで正しく評価される仕組みが大切です。
また、孤立感を解消するための取り組みも検討しましょう。定期的に上司がオンラインや対面でサテライトオフィスの社員と一対一で面談する時間を設け、仕事の状況だけでなく、メンタル面でのサポートも行いましょう。

サテライトオフィスにはメリットが多く、導入にあたって生じる課題も、工夫次第で解決しやすいものです。とはいえ、やはりコスト面は工夫だけで解決できる領域には限界があると言っても過言ではありません。
ここからは、サテライトオフィスの導入で壁となりやすい「コスト」の課題を解決するために使える補助金についてご紹介します。
国の補助金や補助金活用のポイントを見ていきましょう。
サテライトオフィスを導入するにあたって、まず検討したいのが国の補助金制度です。
国が提供する補助金制度は、全国の企業が共通で利用できるため、まず最初に確認すべきものです。
具体的な補助金制度の一例としては、以下の3つが挙げられます。
東京都内の中堅・中小企業(常時2~999人、都内に本社/事業所)を対象に、以下の要件を満たす場合に活用することが可能です。
上記を満たすことで、1事業者あたり10万円が支給されます。対象施設はTOKYOテレワークアプリ登録施設等の共用型、自社設置の専用型、要件を満たすその他施設となります。
なお、申請期間は2025年5月15日(木)~2026年2月27日(金)です。電子申請はJグランツ利用可能となっています(要GビズID)。制度設計~実績報告は交付決定後3~4か月内のタイトなスケジュールなので、規定改定や対象者選定、実施記録の準備を早めに進めましょう。
中小企業等の生産性向上を目的に、登録「IT導入支援事業者」経由でソフトウェアやクラウド、導入後の活用支援まで補助する制度です。通常枠は業務工程に応じて5万~150万円/150万~450万円で、原則補助率1/2(最低賃金近傍の事業者は2/3)となります。
セキュリティ対策推進枠ではクラウド利用料や「お助け隊」サービスも対象です。複数社連携IT導入枠・インボイス枠もあるため、柔軟に活用しやすい制度といえるでしょう。
テレワーク制度の導入・定着で人材確保や雇用管理の改善に効果を上げた中小企業が対象となる制度です。支給額は「制度導入助成」20万円+「目標達成助成」10万円(賃金要件を満たすと15万円)となっています。
ちなみに、2025年4月1日改正で「事前のテレワーク実施計画の提出・認定」が不要になりました。主な要件は、以下の通りです。
既に導入済みでも実施拡大なら対象になる場合があります。都道府県労働局の様式・マニュアルに沿って申請してみましょう。
導入は補助金ありきではなく、経営課題(人材確保・生産性・事業継続計画 等)から逆算して位置づけていく必要があります。制度によって対象経費や補助率・締切が異なるため、情報収集したうえで補助金申請の準備を進めていかなければなりません。
ここからは、補助金活用をスムーズに進めるためのポイントを解説します。
利用する補助金選びは「誰に・どの課題に対応させるか」で絞っていきます。主に以下の基準で選んでいくことが一般的です。
上記を棚卸しし、要件に合う制度を優先して判断することが重要です。
たとえば、人材採用・定着を狙うなら雇用管理系、運用の効率化ならIT系、分散拠点の整備なら施設系がポイントになるでしょう。
サテライトオフィスの導入で補助金を使うにあたり、知っておきたいのが申請要件と必要書類をしっかりと確認しておくことです。自社の認識と相違があると、補助金が認められなかったり、申請がスムーズにいかずに手続きの負担が増えてしまったりする可能性があります。
補助金関連の制度で共通するのは、要件に該当しているか、税金を適切に納付しているかといった点のほか、反社会的勢力に関わっていないか、労働法令を順守しているか、などです。
なお、申請に関する書類に必要な情報には、以下が挙げられます。
【補助金申請で必要となることが多い情報】
電子申請ではGビズID/Jグランツの準備に時間がかかるため、代表者の本人確認・委任状と合わせて早めに取得しておきましょう。
補助金関連の情報収集や、制度への対応・社内設計などは、企業だけで抱え込まず、外部の専門家に相談することも重要です。
たとえば、人事労務の規程整備や勤怠運用は社会保険労務士が適していますし、事業計画やKPI設計・採択目線は中小企業診断士への相談がベストでしょう。
他にも、経理処理・資金繰りは税理士、ネットワークやゼロトラスト等の要件整理はIT導入支援事業者への相談がおすすめです。
無料相談の窓口としては、商工会議所やよろず支援拠点、自治体窓口なども活用できるため、自社だけで対応していくことが難しいと判断される場合には、外部に相談することも検討してみてください。

サテライトオフィスを導入するにあたり、補助金を検討する場合は、あらかじめどのような流れで申請・導入まで進むのかを把握しておく必要があります。
ここからは、補助金を活用したサテライトオフィスの導入ステップを見ていきましょう。
補助金を活用してサテライトオフィスを導入するのであれば、「なぜサテライトオフィスが必要か」「どのような課題を解決したいのか」など、目的を一言で言えるようにしましょう。
例えば、通勤時間を削減して離職を防ぐ、災害時でも仕事を止めない、採用しやすくする、などが挙げられます。
導入の目的が明確になったら、数字の目標を設定しましょう。移動時間を月○時間削減、出社比率○%→○%、採用応募○件増、など数字を使って目標を明確にすれば、サテライトオフィスを導入する根拠や必要性もクリアになります。
目的と目標が明確になると、費用の使いどころも絞りやすくなり、補助金の条件にも当てはめやすくなります。社内の関係者と早めに認識をすり合わせしておきましょう。
サテライトオフィスにおける導入の目的や目標が明確になったら、必要書類・情報を準備していきます。
補助金ごとに必要な書類や、提供しなければならない情報などは異なるため、あらかじめ申請する補助金も絞っておくことが重要です。
補助金によっては、紙での申請だけでなく、電子申請に対応しているケースもあります。ただ、紙・電子のいずれにおいても、後で見返しやすいようにフォルダ名とファイル名のルールを決めて保存しておくことが重要です。
また、電子申請を行う場合、専用のアカウントが別途必要な場合もあるので、早めに作成しておくと安心でしょう。
サテライトオフィスに関する補助金申請の準備が完了したら、申請・審査へと進めていきます。あらためて、公募要領をよく確認し、対象になる費用とならない費用、申請の締め切り、交付決定前に購入できないもの、報告方法などを確認します。
申請書における書き方のポイントは「現状の課題→やること→かかる費用→期待する効果」を簡潔にまとめることです。誰が見ても意図が分かるように配慮することで、企業の意図がきちんと伝わりやすくなり、審査通過のチャンスもアップします。
提出後、事務局から質問や修正依頼の連絡があるケースも珍しくありません。申請期限が短いことも多いので、担当者の連絡先を一本化し、すぐに応じることができるような体制を整えておきましょう。
サテライトオフィスに関する補助金の審査を通過したら、いざ導入・運用のスタートとなります。
サテライトオフィスの利用に必要な入退室・予約などのルールを整備し、端末と通信のセキュリティ基準を明確にしましょう。利用マニュアルの整備や、必要に応じてレクチャーの機会を設けることも重要です。
サテライトオフィスの運用開始後は利用ログで「誰が・いつ・どこを使ったか」を記録しましょう。運用直後は従業員から問い合わせが多い可能性があるため、相談窓口は一本化しておくと、社内の負担を軽減しつつ、効率的に質問に応じることが可能です。
なお、効果検証は月次で行い、移動時間や残業時間、採用や定着、利用率などを明確にしておきましょう。もしも、数値が伸びない場合はルールや席数、拠点構成を見直すことが重要です。

自社専用の拠点を構える選択肢としては、サテライトオフィスだけではなく「コワーキングスペース」も挙げられます。必要な席数だけを時間単位や月額で確保でき、繁忙期や採用拡大期に合わせて柔軟に増減できるのが特徴で、初期費用を抑えながら拠点を設けることが可能です。
駅近くに設けられているコワーキングスペースも多く、「出張先の作業場所」として活用されることもあります。
近年は、会議室や防音ブース、固定席、個室などの設備が充実したコワーキングスペースも多いため、従業員が利用しやすい施設が希望エリアにないか、チェックしてみましょう。
ちなみに、富士宮市ではコワーキングスペースとして「Connected Studio i/HUB」が注目を集めています。ビジネスの街としても知られる富士宮市に拠点を希望するケースは多く、その方法として、コワーキングスペースが選ばれているのです。
「Connected Studio i/HUB」は、会議室や通信環境が充実しているだけでなく、地元企業や起業家などとの交流機会も得やすいのが魅力です。新しいビジネスチャンスを掴むためにも、ぜひ一度利用を検討してみてはいかがでしょうか。
【Connected Studio i/HUB】

住所 :静岡県富士宮市大宮町31 澤田ビル1F/2F
営業時間:9:00~18:00(月額会員は24時間利用可能)
休業日 :土曜日・日曜日・祝日・その他
電話番号:0544-66-6880
公式HP :https://connectedstudioihub.com/access/

サテライトオフィスにかかる初期費用やランニングコストなどは、補助金を活用することで負担を軽減できる場合があります。もちろん、一定の要件を満たす必要はありますが、補助金を活用できれば、コストを抑えながら従業員の生産性向上やモチベーションアップ、満足度の向上などを期待できるでしょう。
富士宮市でも、サテライトオフィスの導入を検討している企業に向けた支援が充実しています。専用の相談窓口を設定しているほか、地元企業との連携支援など、多岐にわたるのが魅力です。
また、費用に関する補助支援や地域とのマッチング支援などを受けられるケースもあり、企業にとってもメリットの大きい選択肢です。
サテライトオフィスの導入を検討している企業担当者の方は、ぜひ富士宮市での拠点確保も視野に入れて、社内環境の整備を進めていきませんか?
【富士宮サテライトオフィス】
窓口 :富士宮市 産業振興部 商工振興課
電話番号:0544-22-1154
公式HP :https://fujinomiya-so.com/
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